ジャイアントパンダ日中共同
飼育繁殖研究について
神戸市助役 松下 綽宏
 ジャイアントパンダの日中共同飼育繁殖研究は、一昨年7月にスタートし、はや3年目を迎えました。 お陰さまで雄の「コウコウ(興興・6歳)」と雌の「タンタン(旦旦・7歳)」の可愛らしい姿に来園者が 楽しまれ、癒されていると聞いております。このように、市民はもとより多くの方々に親しまれ、特に子供たちの歓声に大変うれしく思っており ます。
 さて、繁殖研究の方は、雌の「タンタン」は順調に育っていますが、残念ながら雄の「コウコウ」の性成熟が見られません。
このままではせっかくの日中共同の国際繁殖研究に支障をきたしかねません。
 そこで、今夏、中国側の専門家を招き日中共同で「コウコウ」の雄としての繁殖能力の検査を実施しました。 その結果、「コウコウ」は、生殖器の発育不全で、現状では繁殖研究に適さないとの報告を受けました。
繁殖研究が10年間と限られた期間ということもあり、早速中国側関係者と北京にて協議いたしましたところ、 「コウコウ」を生まれ故郷の四川省臥龍繁殖センターに返し、その代わりに同じセンターにいる雄の「ロンロン(7歳)」が来園することになりました(14年12月交換予定)。
 我々としましては、慣れ親しみ市民に広く愛されている「コウコウ」を中国に返すのは忍びない のですが、これも、希少動物の国際繁殖研究という使命達成のためには止むを得ないのかもしれません。 「コウコウ」には感謝の気持ちで一杯です。「コウコウ」が故郷中国四川で元気に育つことを祈るとともに、「ロンロン」の元気な姿が王子動物園に登場し、 皆様に愛され親しまれそして所期の目的である繁殖研究に貢献してくれることを願っております。
平成14年10月