「動物バリアフリーと茶目子
そして総合学習について」
神戸市建設局長 安藤 嘉茂
 今年3月、長年の悲願であったカバ舎の改修工事(屋外の運動場とプールの改修それに伴う新カバ舎)が、動物の視点にたち、 動物の生態系に配慮した施設⇒動物バリアフリーの理念の基、ついに完成を見ましたことは、関係者の一人として感慨深いもの があります。
 そもそも今回の新カバ舎の建設契機は、雌で国内最長寿の茶目子(チヤメコ・49歳)が、日頃、屋外の運動場からプールへの昇 り降りをかなり辛そうにしていたことや長年にわたり繁殖に多大な貢献(国内最多産級の17頭を出産し国内外に多数の子や孫が 健在)をしたことに対し、余生を少しでも安楽に過ごしてもらいたいとの関係者一同の茶目子への熱い思いが、厳しい財政事情 の中、通じたからだと思います。
 しかしながら、肝心の茶目子が、昨年10月27目早朝、新しいカバ舎と運動場の完成を見ることもなく残念ながら天国に召されて しまい、痛恨の極みでした。心より茶目子の冥福を祈るばかりです。今後は、壮年期とも云える出目男(雄・21歳)の後添えを出きるだ け早い時期に迎えることが茶目子への供養になるのではないかと思っております。
 ところで、21世紀の動物園の使命は、レクリエーション・教育・自然保護・繁殖研究の4つの社会的役割にあると言われています。 この点からも今年度から始まった小中学校を対象とした総合的学習において自然、環境、地域を学ぶことが謳われ、これに呼応 する形で(社)日本動物園水族館協会は、一昨年の総会で「動物園・水族館は、(略)、学校教育との連携を深め、次世代を担う 子どもたちの、総合的学習の場として機能をさらに充実」させるとの決議は意義あることと思います。地域に密着した動物園を目 指す王子動物園としては、今後、地元小中学校と提携し、自然体験に基づく環境学習などを積極的に取り組むことなども必要と考 えております。このように動物園の役割はますます重要になってくるものと思われます。
平成15年3月