本誌前号「No.54」の巻頭言でも触れ、願っていましたインドゾウの出産。願いがかない3月2日早朝に日本の動物園で初めてとなるインドゾウの赤ちゃんが無事誕生しました。そして、母親ズゼの故郷ラトビア共和国リガ市から、神戸市との姉妹都市締結30周年記念のために来神したリガ市長やリガ動物園長などの訪問団を迎え、5月14日に命名式を行い「モモ」と名づけられました。
唯一の心配は、母親ズゼが子育てになれていないことから、人工哺育をせざるを得なかったことですが、職員の懸命の努力により、誕生時の体重約124kgが現在は360kgを超え極めて順調に育っています。
おてんば娘のモモちゃんは、水浴びを好み暑いときには「たらい」に水を入れてもらうと大喜びで行水をしようとしますが、すぐに足で蹴ってひっくり返してしまいます。そしてサッカーが大好きでボールを入れてもらうと上手に蹴って遊びます。また、短かった鼻もずいぶん長くなり、自動車のタイヤを持ち上げるなど鼻使いも上手になり成長ぶりが伺えます。でも、両親とは同居してないため寂しいのでしょうか、飼育員に遊んでもらう時はとっても楽しそうですが、独りになると大きな声で鳴きます。
成長とともに施設環境にも慣れ、母親のズゼや父親のマックが見えるサブパドックに出るようになりました。最初は、ズゼやマックもモモちゃんを見て興奮していましたが、今ではかなり落ち着いてきました。モモちゃんがもう少し大きくなり、ズゼやマックも慣れてくれば、親子で仲良く過ごす姿を見ることができるものと思います。
次の課題は、親子を一緒に生活できるためにどうやって慣らすかですが、あせらず気長に進めていきたいと考えています。誕生後7ケ月を過ぎとりあえず今は一安心しているところです。
当園には国内最高齢のインドゾウ「諏訪子」と国内初の赤ちゃんゾウ「モモ」、そして、その両親と4頭のゾウを飼育しています。多くの方にモモちゃんを見に来ていただき、家族で楽しいひと時を過ごしていただくとともに、親と子の関係や絶滅に瀕している種の保存、動物の生息環境の保護などについて考えていただく一助にしていただければ幸いと考えます。
モモちゃんが健やかに育ち、これからも動物園の役割の多くを担ってくれることを期待しています。 |