王子動物園と
阪神淡路大震災
神戸市建設局 局長 田中 稔
 阪神淡路大震災の発生からはや10年目を迎えました。この機会に王子動物園の震災後の10年を振り返ってみたいと思います。
 王子動物園では、幸いなことに獣舎の被害や動物への影響はほとんどありませんでした。日常の業務では、電気はその日のうちに復旧しましたが、ガス、水道がストップしたため石油ストーブや園内の地下水を代用することで急場をしのぎました。エサについても交通網の寸断などのため入手できるところへ買い付けに出かけ、近隣の京都市動物園や天王寺動物園などの協力をいただき何とか乗り切ることが出来ました。
 このような折、神戸市の姉妹都市であるラトビア共和国のリガ市から「震災にあった神戸の子どもたちを勇気付けるために」とメスの子ゾウ「ズゼ」が贈られました。そして平成16年3月には、リガ市との姉妹都市締結30周年という記念すべき年に、ズゼが日本の動物園では初めてインドゾウの赤ちゃん「モモ」を出産しました。
 平成10年4月には、震災で傷ついた市民の心を癒せればと、これまで中止していた夜桜通り抜けを29年ぶりに再開しました。
 震災後最大の出来事はジャイアントパンダの来園でしょう。ジャイアントパンダは「震災復興に取り組んでいる神戸市民、特に神戸の子どもたちのために」と中国との共同繁殖研究の協議を経て平成12年7月に来園が実現しました。
 未曾有の震災により神戸市も莫大な被害を被りましたが、王子動物園は被災された多くの人々に夢や希望を与える場としてその役割を果たせたのではないかと考えています。
 そしてこれも、多くの方々の支援や協力の賜物でありここに感謝するとともにお礼を申し上げます。
平成17年4月