〜動物たちの睡眠〜
神戸市立王子動物園園長 石 川  理
 今回のテーマは「ねむる」です。眠りはヒトを含めた動物にとって生きていくために必要ですが、 起きている時と違って体の動きが止まり、外からの刺激に対する反応が鈍くなっています。
鳥類や哺乳類など大脳の良く発達した動物の眠りは、レム睡眠(REM rapideye movement  目がきょろきょろ動き、呼吸や脈拍の乱れがあり、脳が目覚めているのに体の筋肉の緊張がゆるんだ眠り)とノンレム睡眠(non REM 眠りが深く、脈拍は遅くなり呼吸もゆっくりし血圧も低くなっている眠り)が交互に現れることが知られています。レム睡眠は鳥類ではごく少なく、哺乳類では肉食獣に多く草食獣に少ないといわれています。レム睡眠時には完全に筋肉が ゆるんでしまうため、鳥類や草食獣にとっては大変危険な状態となってしまうためです。
しかし、動物園の動物は外敵に襲われることもなく、野生では見ることのできない寝姿を 見せてくれます。
 ところでレム睡眠の時にヒトでは夢を見ることが知られていますが、同じようにレム睡眠を している鳥類や哺乳類も夢を見ているのでしょうか。サルやネコによる研究もありますが、 もし夢を見ているのだとするとどんな夢なのでしょう。視覚が発達したヒトの夢はほとんどが 視覚的なものですが、臭覚や聴覚が発達している動物たちはどうなのでしょう。
こればかりはドリトル先生にでもならない限り分かりませんが、科学技術が急速に発達している現在、そのうち動物が見ている夢をヒトが見ることが出来るようになるかも知れません。
平成17年10月