カバの親子
■ 園長の一口メモ ■
〜動物の寿命〜
神戸市立王子動物園 園長
石 川  理

 今年の春から夏にかけ話題となったオランウータ ンやカバなど新しい生命が誕生しました。
 動物園では今回の特集にあるような繁殖のための 色々な努力をしています。動物園で赤ちゃんが誕生 するのはうれしいものですが、死亡する動物の数は それを上回ります。その原因は病気やけが、高齢の ためとさまざまですが、人間よりも動物の寿命は一 般的に短く、動物園の職員は親しんだ動物たちが死 亡する度に悲しい思いをします。
 動物の寿命は大型の種ほど長いといわれていま す。これは体が大きいほど体重に比べ体表の面積が 小さいので熱の発散が少なく、体温を維持するため の代謝による発熱が少なくてすみ、単位時間当たり の呼吸回数が少なく体の消耗が小さいからだと考え られています。また、多くの動物では生活環境によっ て寿命が左右され、同種の動物は寒冷地にすむもの ほど温暖地にすむものより成長が遅く寿命が長いと もいわれています。
 しかし、人間社会を観察するとどうもこれには当 てはまらないようです。
 当園での最長寿記録は平成20年に死亡したイン ドゾウの諏訪子で65歳でした。動物園では飼育技 術が年々改善され高齢の動物が増えていますが、今 後はこれらの動物に対する飼育方法や介護方法も考 えていかなければならない時代になっていくと思い ます。