思い出のアルバム 


王子動物園を今年3月に退職する飼育歴40年の吉竹渡総括班長が、主に携わってきた鳥類の飼育、その中でも日本一の繁殖数を誇るフラミンゴに関する話を中心とした「大人のための動物園講座」が、2月24日(日)に開催されました。


1967年に自分の夢をかなえて飼育係になり、大型草食獣などの飼育を経て、1981年よりたっての希望だった鳥の飼育を担当して27年。
巣から落ち人工育すう(鳥類を人間の手で育てること)をしたカンムリヅルや、泳ぎを教えたオオサマペンギンのヒナ、くちばしを骨折し、研究と試行錯誤の末に人工くちばしの装着に成功し、今も元気なコウノトリの「コウちゃん」など、特に心に残った鳥たちの飼育秘話を披露しました。

入園するとまず初めに出迎えてくれる、鮮やかな羽色のフラミンゴ。現在はヨーロッパフラミンゴとベニイロフラミンゴの約200羽を飼育しています。
25年間で481羽がふ化し、うち約220羽が国内外の動物園に巣立ち、今王子動物園はフラミンゴの繁殖日本一を誇っています。繁殖日本一になるまでの王子動物園の取り組みと、吉竹さんの長年の観察から見出された珍しい事例が披露されました。


1963年〜 フラミンゴ飼育開始、6羽を他の鳥と雑居で飼育
1969年〜 フラミンゴ舎完成 飼育数61羽


野犬などの外敵から守るため、夜間は奥ゲージに収容し、毎朝飼育場へ出していた
脱出防止のため年一回、風切り羽を切るため産卵にしてもふ化にはいたらなかった
1977年 当園初のヨーロッパフラミンゴの人工繁殖に成功(人工育すうでは国内初)
1982年 ワシントン条約(野生生物保護条例)による規制で、新たな輸入が困難になり、本格的な繁殖に取り組む

フラミンゴ舎改修
滑走による飛行脱出防止のため、飼育場にフラワーポットを設置
脱出予防と外敵の進入防止のため、飼育場の天井にネットを張る

・風切り羽を切らない、夜間奥ゲージへの移動をやめ、1日中飼育場で過ごさ
 せることにより、フラミンゴのストレスを緩和
1983年 3羽の自然繁殖に成功
1986年 ふ化数30羽(産卵数は55個)
1989年 ふ化数36羽(産卵数は70個)最高記録
2007年 飼育数は約200羽
これまでは増やすことを目的としてきたが、最近では繁殖用の島をひとつなくすなど適切な繁殖数を考慮して飼育

フラミンゴのペアは一夫一妻で1つの卵を大切に育てるのが普通ですが、25年間で5例ほど2つの卵を産みふ化させた事例や、親子関係にある生後1〜2年の若いフラミンゴがヒナの子育て手伝う「ヘルパー行動」など、吉竹さんの長年の観察から見出された珍しい事例が紹介されました。

最後に吉竹さんの飼育人生の中で1番の思い出は・・・
自分の好きな鳥の飼育、その中でもフラミンゴの飼育に長年携われ、いろいろな行動を見ることができ、たくさんの専門知識を得ることができました。「フラミンゴの事なら王子動物園の吉竹に聞け」といわれている事が誇りです。


吉竹さんの優しい眼差しの先にはいつもフラミンゴがいます。
今まで吉竹さんをはじめ多くの飼育員によって培われた王子動物園の知識と技術を礎に、これからも誕生したヒナが力強く成長し、大きく羽ばたいていきますように・・・



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