思い出のアルバム 


* 「キンシコウ日中共同飼育繁殖研究終了式」

平成4年より中国と共同で行ってきた「キンシコウ飼育繁殖共同研究」の期間が満了のため、王子動物園で飼育してきたキンシコウを中国へ返還する式典が1月9日行われました。

◆主催者代表あいさつ・・・・・神戸市建設局長 村戸 靖男
1991年キンシコウの日中共同繁殖研究調印が天津市で行われ、翌年の5月に1対のキンシコウが王子動物園に到着し、10年間の日中共同研究が開始されました。
2002年5月に終了の予定でしたが、同年は日中国交回復30周年にあたり、2003年は神戸市と天津市の友交都市締結30周年という節目にあたっていた為、陳 潤生先生をはじめ、中国側の関係者のご好意とご尽力により、2003年12月迄に延長して頂きました。

これまでにオス2頭、メス2頭の4頭の出産に成功しました。
この成果を世界的権威のある「ズーイヤーブック」に報告を行うと共に、世界で初めてキンシコウの中国への里帰りを実現させるという、大きな成果をあげました。
10年以上にわたって神戸市民に愛されてきたキンシコウを、中国にお返しする事は大変寂しい事です。しかしながら絶滅危惧種であり、中国の国家第1級保護動物であるキンシコウの繁殖研究に、一定の成果をあげる事ができました事に対し、自負すると共に、キンシコウの繁殖研究の成果が現在すすめていますパンダの日中共同繁殖研究につながり、日本と中国、神戸市と天津市の友交として大いに役立ったと考えています。

本日お返しするウェンウェン、ケンケン、リュウリュウの3頭が、末永く健在であります事を、また中国と日本、天津市と神戸市の更なる友交を願ってやみません。 最後になりましたが、キンシコウの日中共同繁殖研究の為にご尽力を賜わりました関係者各位に心から感謝を申し上げます。

◆来賓あいさつ・・・・・中国野生動物保護協会所長 陳 潤生
キンシコウの返還にあたり、この様な盛大な返還式典を開催して頂き、心より感謝致します。
神戸市民、特に子供さん達に愛され、神戸での生活が10年以上になるキンシコウに4頭の赤ちゃんが誕生しました。これは神戸市と天津市と中国野生動物保護協会との友交の結晶であり日中友交の象徴でもあります。
神戸市民からの10年間にわたるキンシコウへのご愛顧とご配慮に深く感謝致します。みなさんありがとうございます。

中国のジャイアントパンダも神戸での生活が3年以上になります。ジャイアントパンダは中国の国宝であると共に、日本を含め世界の宝でもありその保護には、全世界の協力が不可欠です。
神戸でのジャイアントパンダの健康と赤ちゃんパンダの誕生を心から待ち望んでいます。

神戸の子供さん達、ジャイアントパンダをよろしくお願いします。

◆共同研究成果報告・・・・・王子動物園園長  大久保 建雄
この研究は神戸市と中国野生動物保護協会、北京市瀕危動物繁殖センター中国天津市園林管理局の4者による日中共同の国際プロジェクトでした。

1992年5月に、オス・メス2頭のキンシコウが来園しスタート。
1993年3月には、中国以外で世界初となります赤ちゃんの誕生となり、その子を「アイアイ」と名付けました。
1994年3月、新たな研究対象としてメス1頭が来園しました。初めての子供アイアイは順調に成長していましたが、神戸を襲ったあのいまわしい大地震の後の3月、残念ながら死亡しました。
1995年6月には新たな子供が産まれ、「コウコウ」と名付けられこの子を含めて王子動物園のキンシコウは5頭となり、共同研究は順調に進みました。
1997年5月、2才となった「コウコウ」は古里の中国に里帰りし、これも世界で初めての事でした。

この様に中国以外での世界初の出産、中国への赤ちゃん返還という共同研究の成果は、国際的にも高く評価され、1997年世界動物園年鑑に研究報告が掲載されました。
そして2001年には4頭目の赤ちゃんが誕生しました。
しかし一方では、初期導入個体の老齢化も進みオスの「チャンチャン」の死亡など悲しい事もありました。

本日、日中共同研究事業が終了し当初の導入個体であった「ウェンウェン」をはじめ、3頭の親子のキンシコウを中国へお返しする事となりました。
国際研究事業のパートナーである中国側関係者に深く感謝申し上げ研究の成果報告と致します。

◆青谷愛児園の園児たちより花束贈呈と歌のプレゼント
キンシコウを愛した子供たちを代表し、青谷愛児園の園児たちによる贈る言葉

『楽しませてくれてありがとう中国に帰っても元気でいてねまた会いに来てね』

と歌のプレゼントがありました。

11年間王子動物園の放養式動物舎に来ればいつでも会う事ができたキンシコウ初めて来園した「ウェンウェン」と「チャンチャン」の仲の良さに感心し、人間と何ら変わりのない誕生した赤ちゃんをいつくしむ心に感激し、多くの人々がそれぞれのキンシコウのひとつひとつの動作に、時の経つのもわすれて見入っていました。

11年間たくさんの思い出をありがとう、そしていつまでも元気でいてください。


◆返還したキンシコウ◆
1992年 5月13日来園 (1980年中国生まれ)
1999年12月30日来園 (1994年中国生まれ)
2001年5月3日王子動物園生まれ

◆これまでの繁殖経過◆
 ◇オス2頭 メス2頭
内  訳 1993年4月21日 愛愛(アイアイ・メス)誕生
(中国を除き世界初の出産)
1995年6月24日 勇勇(ユウユウ・オス)誕生
(1997年5月21日中国へ里帰り)
1998年3月24日 鈴鈴(リンリン・メス)誕生
(1998年4月28日中国へ里帰り)
2001年5月3日 龍龍(リュウリュウ・オス)誕生



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