パンダのあしあと

2002年



* コウコウ ありがとう 元気でね!
コウコウ 平成12年7月来園以来2年4月余り、私たちの心を癒し、夢をくれた興興(コウコウ)ですが、 オスパンダとして繁殖研究を進めるうえで支障があることがわかり、コウコウを中国に返し、 新たな雄パンダコウコウ(2代目)を迎えることになりました。 12月5日に初代コウコウが中国に帰ることが決まり、 11月30日午前11時より多くの人々が参加してコウコウのお別れ会が開催されました。
■あいさつ・・・松下神戸市助役
松下神戸市助役 コウコウは中国と神戸が協力しパンダの子供を作る共同研究の為、 平成12年7月に神戸にやって来ました。
大震災から8年が経とうとしていますが、 震災で打ちひしがれた市民の心をなんとか明るい事で励まそうと来神し、 名前もたくさんの人々から提案を頂きました。 神戸の「コウ」、大震災からの復興の「コウ」、六甲山の「コウ」、神戸港の「コウ」、 そしてみんなが幸せになろうという「コウ」、その意味で「コウコウ」という名前がついた訳です。
コウコウ コウコウはとってもオチャメで元気なオスでしたが、 子供を作っていくという研究の為には少し発育が足りなかったので、 中国臥龍のジャイアントパンダ繁殖センターに戻る事になりました。

色々な意味で私たちの心をなごまし、感動を与えてくれたコウコウ、 非常に残念ですが12月5日中国へ帰ることになりました。 2年4月みなさんに愛されたコウコウにお別れする為に、 多くのみなさんがお越しくださりありがとうございました。
コウコウ、本当にありがとう、そしてさようなら。

■中国返還までの経緯説明・・・大久保園長
平成12年7月来神 今年で6歳(そろそろ繁殖可能な年齢)
平成14年4月 健康診断で繁殖の為の器官(外部生殖器)が確認できなかった
平成14年7月26・27日  中国の専門家と共に検査した結果生殖器の形成不全、近い将来性成熟する可能性が非常に低い、共同研究という限られた期間で、円滑な研究をする為にはオスの入替えが最善
平成14年12月5日 AM7:30頃 コウコウ王子動物園を出発し中国へ返還
平成14年12月9日(予定) PM3:00頃 新しいオスパンダ(ロンロン)王子動物園到着
大久保園長 コウコウの返還は繁殖の為やむおえませんが、 来日以来日中友好の動物として多くの市民にやすらぎ、癒し、 そしてたくさんの夢を与えてくれたコウコウ、非常に深い哀惜を感じ残念です。

コウコウの為にも新しいロンロンとタンタンに全力を注ぎ、 より大きな研究成果を上げる事がコウコウの為にもなると決意を新たにしています。
■セレモニー
地元のパンダ委員会よりコウコウの大好物であるリンゴを、 元気な青谷愛児園の園児より「パンダの歌」の大合唱に続き、 代表の園児がササの先に付けたリンゴをプレゼント。 大きな体を伸びだし、器用にリンゴを手にしたコウコウは、 みんなが見守る中愛嬌たっぷりにほおばりました。
プレゼントのリンゴを食べるコウコウ プレゼントのリンゴを食べるコウコウ
こうこう 元気で体に気をつけてネ
遠い日本に来てくれてありがとう。中国でハッピーにすごしてネ
中国に帰ちゃうのは寂しいけど、また日本へ来てくれる日を楽しみにしています
今日まで楽しませてくださってありがとう
コウコウへのメッセージボード 屋外運動場前に設置された大きなメッセージボード2台には、 書ききれないくらいのコウコウへの思いが寄せられていました。

コウコウ、たくさんの想い出をありがとう。
そしていつまでも忘れない!!




* その日のタンタン
* コウコウのお別れ会が開かれた日のタンタンは、時折柵ごしにコウコウの方を見ています。 なんだか寂しそうに見えるのは気のせいでしょうか?
食事やお昼ね姿を見ることが多かったタンタンですが、この日は木登りに夢中。 スルスルと居心地のいい枝まで登り、集まった多くの人々を高みの見物しているようです。
寒くなりタンタンはますます元気なようです。

新しい2代目コウコウとも仲良くしてね!!
木登りに夢中のタンタン 木登りに夢中のタンタン



* 冬・元気です!!
ベゴニアパンダ ゲートを入った正面に赤と白とピンクのベゴニアパンダが来園された人々を出迎え、人気の記念撮影スポットになっています。
メスのタンタンはお気に入りの木製デッキの上であたたかい冬の日を浴びながら、スヤスヤとお昼寝中。 大きな頭に短い前足をチョコンとのせたかっこうのかわいいこと。

一方オスのコウコウはモクモクと食事中。 ササをちぎる音、ムシャムシャと噛む音、そして息づかいまでもが聞こえ、 「観る」だけではなく「聴く」楽しみも一緒に味わうことができる王子動物園です。
お昼寝中のタンタン 食事中のコウコウ
お昼寝中のタンタン 食事中のコウコウ



* クーラーの効いた運動場で食事中!!
9月半ば、まだまだ日差しも強く外気温も高いので、2頭はクーラーの効いた室内運動場にいます。 ちょうど食事時、タンタンは得意のパンダ座りで行儀よく、そして丁寧にササの葉を食べています。 コウコウはたくさんのササを回りにちりばめ、タイヤにすっぽりとおしりを入れて、のけぞった体勢で食べています。2頭の対照的な姿にみんな大喜び!!
メスのタンタン オスのコウコウ
メスのタンタン オスのコウコウ
■ コウコウについて大久保園長に聞きました。(9/15)

現時点で繁殖能力の低いコウコウは12月頃中国に帰りますが、手続き中で具体的な日程はまだ決まっていません。 この王子動物園で2年間市民や子供たちに愛されたコウコウなので、直前にでもお別れ会をやりたいと考えています。 コウコウを中国に連れ帰り、代わりに新しくやってくるロンロンはコウコウと父親が 同じ異母兄弟、1歳年上で体つきもコウコウに似ており元気な様子です。

コウコウ&ロンロンについては新しい情報が入り次第お知らせします。



* オスの龍龍(ロンロン)がやって来ます!
10年間の限られた期間内で、繁殖が主な目的である日中共同繁殖研究の推進の観点から、 現時点で繁殖能力の低いオスのコウコウに代わり、 繁殖能力のあるオスと交換することになりました。
中国国家林業局及び中国野生動物保護協会との協議の結果、 中国側が中国保護大熊猫研究中心で飼育中の雄のジャイアントパンダ『龍龍』(ロンロン)を2002年12月までに日本側に送り、 同時に日本側が『興興(コウコウ・中国名一錦竹一)』を中国側に返すことになりました。
ロンロン
雄の『龍龍』(ロンロン)

この件につきましては、新しい情報が入り次第お知らせいたします。(2002.8.23)


 
ロンロン 雄のコウコウの交換協議について
オスのコウコウの性成熟について、日中共同の繁殖能力の検証の結果を踏まえ、 雄を交換する方向で協議することになりました。

―■ 王子動物園ニュースより(2002.7.31) ■―

コウコウ  王子動物園で日中共同飼育繁殖研究のため飼育されているジャイアントパンダの雄(興興)は本年で6歳となり、 性成熟も近い年齢となったが、今春繁殖兆候が確認できなかった。
 日中共同研究は繁殖が主たる目的であり、この目的の遂行のためには繁殖能力のある雌雄が前提となる。
 6月26日から27日にかけ、中国四川省臥龍にある中国保護大熊猫研究中心から2名の専門家を招き、 日中双方で興興の繁殖能力について検査を行い、 さらに中国側は検査データ等を本国に持ち帰り検討を加えていた。
 この度、中国から、興興は生殖器の発育不全であり、現段階では繁殖能力はなく、 また数年内に繁殖能力が備わる可能性は低いため、 日中共同研究を円滑に推進する観点から繁殖に適した新たな雄と交換する方向で協議する旨、連絡があった。
 今後は、交換に関する具体的な協議を進めていく。

コウコウの件につきましては、新しい情報が入りましたらお知らせ致します


 
* オスのコウコウの性成熟について
2002年5月14日、『4月の健康診断でオスの「コウコウ」の生殖器がみあたらずオスではないかも知れない』という内容での新聞報道が行われましたが、 誤解を与えかねない内容ですので、大久保園長に詳しい状況を聞きました。

■現時点では、『性成熟していないオス』と考えています。

【経緯】
パンダの健康状態把握の為、毎年1回ドック検査を実施しています。 今年は4月17日に全身麻酔し雌雄共に健康並びに発育状況をチェックしました。 その結果オスのコウコウの生殖器が確認できませんでした。
他の動物に比べオスパンダの生殖器は体の大きさの割りには小さく、 外部に大きく露出することが少ないと聞いており、 現在の年令等から勘案しても今回確認できないから即メスと断定できるものではない。 次の様な状況をふまえ現時点では『性成熟していないオス』と考えています。

【理由】
1 中国側は性判定の比較的容易な生まれた直後に「オス」と判定し、血統登録している。
2 オスの性成熟は7歳前後と言われているが、コウコウは6歳前である。成長・発達には当然個体差があるので数年後に成熟する可能性もある。
3 現時点ではオスの生殖器は確認できなかったが、当園の個体以外に飼育経験を有さない我々のみで結論することは困難である。
4 もしメスであるとするならば、タンタンの様に当然メスとしての性成熟の兆候が観察できても不思議ではないが、現在全くみられない。
5 タンタンと比較して、体重も30kg以上重く、行動も非常に活発である。

■今後中国側と協力しながら繁殖能力の適否を検証していきます。

王子動物園のパンダは震災で傷ついた市民、とりわけ子供達の心の傷を癒し元気づけとうと中国からやって来ましたが、 今ひとつの大きな目的は、世界の稀少動物ジャイアントパンダの飼育・繁殖に関する日中共同による10年間の国際繁殖研究です。 限られた研究期間内に一定の成果を得る為には研究に適する個体を確認する必要があります。 この確認作業を自然状況で行うには少し時間がかかりすぎます。
なるべく早く繁殖に適した個体か否か見極めることが共同研究を円滑に推進することに結びつく為、 共同研究のパートナーであり、飼育について豊富な経験と知識を有する中国側の専門家の協力を得て、 適否を検証していきたい。目下その為の準備を進めているところです。

その日の午前10時のコウコウは・・・

写真3 芝生の運動場を走り回り、たよりなげな木にスルスルと登り木の皮をはいだり、 登りかけた木から枝をなぎ倒しながら落ちたり、のどが渇けばプールの水をはらばいになって飲み、 また走り回る、「ハァ ハァ」という荒い息使いを聞き、活発なコウコウにお客さんもびっくり!
結果がでるまで気にはなりますが、今まで通りの活発でマイペースなコウコウを、みんなが愛してる事には変わりありません。
写真4 写真2
写真1



* 個性が光る食事風景
コウコウの食事風景 午後1時30分頃より2頭のパンダは室内運動場で食事中、 特に個性がはっきり現われるのがこの時です。
メスのタンタンは床に置いてある大きなタイヤの中に入り、 行儀良くタイヤに腰掛け得意のパンダすわり。
新鮮なササを足元にかため、葉がたくさんついている枝を丁寧に折り、 右手と口でササの葉だけをうまく束ね、口に運びます。

一方オスのコウコウは、 中央に設置してある高さ10センチほどの木製の体重計を背もたれにし、 足をなげだし斜め仰向け状態で食事中。
タンタンのように葉をちぎって束ねるのではなく、 ササを持ち大胆にも直接葉をかじっていきます。
まわりには葉がなくなり、枝だけのササが散らばっている状態です。
 平日の午後は、静かでゆったりとした時間が動物達をやさしく包んでいます。

※室内運動場では「写真撮影禁止」です。パンダの健康のためにみなさんのご協力を是非お願いします。



* ジャイアントパンダ、観覧者300万人のお祝い
2000年7月28日のパンダ館オープンから576日目の2002年2月25日(月)に、 ジャイアントパンダの観覧者が300万人を突破いたしました。

小谷さん一家 記念すべき300万人目は、西宮市、小谷さん一家。
1歳の悠斗君は動物が大好き。
「今日は初めてパンダを見るのを楽しみにしていました。
旅行の帰りにちょっと寄ってみようと思って来ましたが、帰らなくて良かった。記念になってとても嬉しいです。」

暖かな小春日和の中、大久保園長と共にくす玉を割りお祝いをし、 小谷さん一家には「300万人目の認定書」や「コウコウ」「タンタン」のぬいぐるみや写真集等の記念品がプレゼントされました。
今年は300万人目から先の10人の方にも記念品が、 また当日会場におられた300人の方々にもパンダシールがプレゼントされました。
*



* ジャイアントパンダの近況
ジャイアントパンダが来園した2000(平成12)年7月16日の2頭の体重は「コウコウ」が約95キロ、「タンタン」が約83キロでした。
現在の体重は「コウコウ」が約123キロ、「タンタン」が約92キロとなりました。
体格は成獣といえます。パンダの発情時期は、3月から5月初めといわれています。
しかし、オスの「コウコウ」は、未だ性成熟していないと思われます。
オスのパンダの性成熟は7歳前後といわれています。

―参考―
観覧者  50万人  平成12年10月2日 単純日数:67日目  営業日:59日
観覧者 100万人 平成13年5月13日 単純日数:129日目 営業日:112日
観覧者 200万人 平成13年5月12日 単純日数:289日目 営業日:248日
観覧者 300万人 平成14年2月25日 単純日数:576日目 営業日:492日
平成11年度入園者 985,484人
平成12年度入園者 1,987,590人
平成13年度入園者 1,650,000人



* 寒さなんてへっちゃら!!
小雪の舞い散る寒い冬の朝、お客さんもいない運動場。
コウコウ・タンタンはどうしているのでしょう?

いつも活発に動き回っているコウコウは、冬空の下でまるーくなってお休み中。 頭をうずめて寝ていると、どちらが顔だかわからない。 一瞬顔を上げ、あたりをみまわし、そしてまたスヤスヤと眠りの世界へ・・

 きっと10時頃の食事時間まで眠っているのでしょう。
コウコウ

タンタン いつもおとなしいタンタンはというと、お気に入りのデッキづたいに木に登り、 木の枝先から吊り下げられているタイヤを短い手で取ろうとしています。 チェーンに手は届きますが、タイヤを持ち上げるところまではいきません。 逆さまになるくらいに頑張っていますが、用心深いタンタンはあきらめてするするとお尻から降りていきました。

 先日のコウコウは、枝先で風に揺れている葉っぱを取ろうとして細い枝先まで進み、 「ボキッツ」という音と共に地面に落ちていました。 活発なコウコウの運動場に植えられている木は皮がはがされ、多くの枝が折られ、 それぞれの性格が運動場のあちこちにあらわれています。