NO,50 APRIL2002 |
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はじめに 「21世紀の王子動物園の使命について」 平成14年3月 神戸市長 矢 田 立 郎 |
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近代的動物園がロンドンに誕生して約180年、上野動物園が開園して120年が過ぎようとしています。
そして今日、動物園・水族館の数は、世界で約1,200、日本に約170あり、毎年世界で約6億人、
日本で約6,500万人の人々が訪れています。その間、動物園の展示方法は、
見世物的展示から動物の生息地を背景に取り入れた生態的展示へというように、
動物主体の展示へと進化しています。一方、ことに20世紀後半の急激な産業発達のグローバル化・
人口増加等の要因による自然環境破壊は、世界各地で地球のかけがえのない財産である野生動物の絶滅あるいは激減を招き 、
今や世界で、自然環境保護や野生動物保護が強く叫ばれています。 このような点からも、野生動物を飼育・展示する動物園のレクリエーション・教育・自然保護・繁殖研究という4つの社会的役割は、 ますます大きくなっています。 中でも環境教育(自然保護・生涯学習)と種の保全は、「世界動物園保全戦略」 (世界動物園機構策定)をまつまでもなく21世紀の動物園に課せられた重要な使命といわれています。 王子動物園においても、現在、世界一級希少動物であるジャイアントパンダ、キンシコウの日中共同飼育繁殖研究をはじめ、 多くの希少動物の繁殖研究(種の保存)やサマースクール、大人のための動物園講座などの市民参加型自然環境教育を行なっています。 今後、王子動物園は、これらに加え、学校週5日制の進展に伴う総合学習教育の場、 高齢化時代の癒しの場・ゆとりの空間の場としての生涯学習教育などに一層力を注ぎ、市民に広く開かれた都市型総合動物園を目指したいと思っています。 |