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ローランドゴリラの「ケンタ」、京都市動物園へ
−繁殖の使命を帯びて− |
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平成10年11月18日、ローランドゴリラ(オス)の「ケンタ」推定21歳が、 ブリーディングローン(繁殖を目的とした貸借)のため、 「ヤスコ」の待っている京都市動物園へ行きました。 ローランドゴリラはワシントン条約の付属書Tに指定されており、 野生では絶滅の危機に瀕しています。 このため(社)日本動物園水族館協会において、 種の保存を図る為特別専門委員会を設置して繁殖促進に取り組んでいます。 今回の取り組みはその一環として、 近隣の動物園が協力しあって実現したものです。 <期間> 平成15年3月まで(但し、両園の協議により期間の変更もあり得ます。) <貸借理由> 国内の動物園でのゴリラの飼育は、昭和33年に始まり、 現在は38頭(オス19頭、メス19頭)が17園で飼育されています。 この間の繁殖は7頭で、順調とはいえません。 繁殖がうまくいかないのはいくつかの理由が考えられますが、 その代表的なものに、オス、メス各1頭の2頭飼育と、 幼児期からの同居飼育による弊害があると言われています。 当園でも昭和56年6月22日から平成4年11月25日まで、 「ケンタ」と「ヤスコ」の2頭飼育でした。 「ケンタ」と「ヤスコ」は共に4歳の時から飼育された幼なじみペアで、 交尾行動がないため、「ヤスコ」を繁殖実績のある京都市動物園に貸し出しました。 繁殖計画を進めるには、野生と同じようにオス1頭に対して、 メス3〜4頭の群飼いが有効とする考えがあります。 上野動物園、東山動物園、京都市動物園がこの試みで飼育されていました。 ところが、京都市動物園では平成9年5月に「マック」が、 平成10年3月に「サルタン」(いずれもオス)が死亡し、 現在メス3頭の飼育となっています。 ローランドゴリラは希少種であり、早急に繁殖計画の実施が望まれます。 両園で話し合った結果、繁殖実績があり、 幼なじみの「ヤスコ」が居る京都市動物園へ「ケンタ」を貸し出し、 繁殖に取り組むことになりました。 できれば、「ヤスコ」が再会した「ケンタ」を受け入れ、 可愛い赤ちゃんを産み、再び王子動物園で2頭が暮らせる日を期待して、 「ケンタ」を送り出しました。 <その日のケンタ> 京都までの仮の住まいは、ケンタが横になって眠れるよう、 畳1枚分ほどの広さのある重量400Kgの鉄の箱。 朝10時過ぎにかけられた麻酔により、 いびきに似た呼吸をしながら眠っているケンタ。 飼育職員約10人で大きなケンタをシートに寝かせ、身長、 足の裏の長さなど各部を測定。 残念ながら重過ぎて体重は計れませんでしたが、推定200Kgほどだそうです。 麻酔からさめたケンタが驚かない様、鉄の箱は光を遮断し、 また京都まで飼育係長が付き添います。 <京都でのケンタは?> しばらくは単独で生活し、12月2日頃から一般公開の予定です。 京都市動物園には、1967年生まれの「トヨコ」、1973年生まれの「ヒロミ」 幼なじみで1977年生まれの「ヤスコ」のメス3頭が「ケンタ」を待っています。 「ヤスコ」と「ケンタ」、お互いに覚えていてくれること、 そしてかわいい赤ちゃんの誕生を祈っています。 |
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